カルロス・ルイス・サファンの「風の影」読了
1945年のバルセロナを舞台に
時代は1910年代へと遡る一冊の本にまつわる人生と記憶の物語
内戦の血なまぐさい歴史と不穏さが影のようにつきまとうバルセロナの街を
若い青年のむき出しの感情がかけずり回る
ある時はその若さゆえの衝動を憐れんだり、
ある時はそんな失われた年月を恋しがったり
魅力的な登場人物たちの喪失の歴史に寄り添って
ページをめくる手が止められなかった
本を読む意味に気づかされる一冊
「おまえの見ている本の一冊一冊、一巻一巻に魂が宿っている。本を書いた人間の魂と、その本を読んで、その本と人生をともにしたり、それを夢みた人たちの魂だ」
「小さくてきちょうめんな彼女の文字を見て、ぼくはきちんと整頓された書斎机を思い出した。人生があたえてくれなかった平和と安心を、彼女はもしかしたら、言葉のなかに見いだそうとしていたのかもしれない」
「こうして、あなたに手紙を書きながら、電車に乗っているあなたを思っています。夢いっぱいの、でも裏切られ、傷ついた魂をかかえて、わたしたちみんなから、そして自分自身からも逃げようとしているあなたを思っています」
過ぎ去ったものは
全て美しい思い出に変わるなんてことはない
逆に、美しかった思い出や
大切にしていた言葉と記憶が
その後、幻想だったと気づき、その過去の光さえ失うことが多々ある
ヌリア・モンフォルトが
最後に、愛する人と過ごした晩年の日々が
果たして幸せだったのか、どうか
彼女の孤独な魂はしばらく忘れることができないな、と思う
Patti Smith "Smells like teen spirit"
読み終えてしばらくしたらこの曲を思い出した
若さの哀れさと、成熟し終えた秋の亡霊のような幸せに
もう一人の主人公、ヌリア・モンフォルトに捧ぐ。
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